9kHz ~ 6GHz の広帯域を連続カバー
近年はMLS、 STL、 FPUなどのサービスが3GHz以上の周波数帯で提供されています。 3GHzを超えたSバンド、 Cバンドでは ISM、 WiMAX、 ETC に代表される新しいサービスが誕生し、従来の広帯域受信機ではカバーできない、より高い周波数まで高感度で安定した受信性能が求められるようになりました。 諸外国においても2.5GHz以上のバンドは LTE-Advanced、 WCDMA/HSPA、 TD-SCDMA等の各種デジタル・セルラーサービス用として、また我が国と同様に各種ワイヤレス・コネクティビティーでの使用が顕著となっています。
AR6000は 3GHz~6GHz において多様化する受信機へのニーズに応えるべく、AR-ALPHA、 AR2300、 AR5001D に代表される最新の広帯域技術、 デジタル信号処理を惜しみなく投入した 9kHz ~ 6000MHz を連続でカバーする世界初の超広帯域受信機です。
AR6000は信号解析、信号強度計測用のメジャリング・レシーバー(計測用受信機)に匹敵する優れた高周波特性を全周波数にわたり提供します。 広域電波監視業務、混信妨害調査、電界強度測定、通信頻度調査、電波発射状況調査、電波伝搬調査、エリアチェックや空間監視(違法電波、盗聴、盗撮対策)等の業務用として、またシステム組込用の受信機ユニットとしてご使用いただけます。
■主な特長
超広帯域 : 通信型受信機としては世界初、 9kHz~6GHz を最小1Hz(3.15 GHz以上は2Hz)ステップで連続カバーします。 スペクトラム・アナライザーとは異なり、受信機ならではの感度、選択度、安定度に優れ、また屋外での使用を考慮した13.5VDC設計、小型サイズ(約30x22x10cm?5kg) と測定器とは一線を画したコンセプトです。
NFに優れたダウンコンバーター : 3.15GHz~6GHz はダウンコンバート方式により受信します。 内蔵のダウンコンバーターはNF特性に優れた回路素子を使用し、広帯域受信機でありながらマイクロ波専用受信機に匹敵する高周波特性を提供します。
分布定数回路の採用 : AR6000は全バンドにおいて従来の集中定数による高周波回路を一新し、CAD/CAMで入念にシミュレーションされた分布定数を基本とする広帯域にわたり、低ノイズを保障する設計手法により生み出された受信機です。 調整によるバラつき、環境変化、経年変化による特性の劣化を防ぎ、長時間にわたり高性能を維持します。
SDRアーキテクチャーの実現 : AR6000は第3中間周波数(3rd IF)以降の信号処理がデジタル化されています。 アナログ方式の受信機では独立したフィルタや検波回路が必要となりますが、AR6000ではこれらのプロセスを高速信号処理用のDSPで実行することにより、多様化する受信ニーズに応えるべくカスタマイズをDSPのファームウェアの変更で可能としました。
ダイレクト・コンバージョン方式 : 9kHz~25MHzの LF、 MF、 HF帯においてはアンテナからの入力信号を直接ベースバンド信号に変換するダイレクト・コンバージョン方式を採用しています。 この方式は回路にLSIが使用でき、小型化と性能の均一化が図れるイメージ特性に優れた方式です。
ゼロIF方式 : AR6000は25MHz以下の処理で採用されたダイレクト・コンバージョン方式と同様に 25MHz以上の受信周波数においても IF信号と同じ周波数あるいは非常に近い周波数を局部発振器(ローカルOSC)で作りIF信号と混合することで信号を処理する ”ゼロ IF” 方式を採用しています。 この方式はイメージ特性に優れているのみならず、復調処理のデジタル化、外部へ I/Q信号を出力するための回路方式です。
デジタルI/Q出力 : アナログ IF をA/D変換でデジタル信号にした後、直交復調しゼロIF信号となります。 この信号は2つの信号成分を持ちI/Q信号もしくは、解析信号と呼ばれています。 一般的にI/Q信号は複素平面上で表現され、同じ角周波数でも、右回りと左回りが表現され、 様々なデジタル信号処理を可能とするものです。 AR6000はオプションのI/Q出力基板を搭載する事で、従来のアナログIF出力に加えPCでの処理を可能としたデジタルI/Q出力としてUSB2.0にて出力されます。
高精度周波数リファレンス : AR6000は標準で0.1ppmの周波数精度を提供します。 オプションのGPS受信機から 1ppsの高精度なパルス信号を使用することで、全バンドにわたり周波数精度 0.01ppm へと周波数精度がアップされます。 オプションのGPS受信機は面倒な配線や受信機への改造無しに、リアパネルのジャックへGPS受信機からのケーブル先端のプラグを差し込むだけです。
高度な相関性能 : AR6000はアンテナ入力信号に相関した信号強度表示と外部アナログ出力(45.05MHz)を提供します。相関特性は全周波数において±1.5dB以下と測定機に匹敵する値です。 スペクトラム・アナライザーを使用した受信帯域のスペクトラム監視、レベル測定、また外部復調器へ最適なレベルを提供するためにも重要な性能です。 入出力の相関特性はオプションでトレース可能な測定系による試験成績書として提供されます。
最大240時間の録音機能 : AR6000の前面パネルへSDカードを差し込む事で復調音の録音が可能です。 1GBあたり約8時間の録音ができます。 最大32GBのSDHCまで使用することができますので、32GB使用時には約240時間の録音が可能となります。 録音はPC準拠のWAV形式を採用していますので、PCでの再生と編集が可能です。 スケルチとの連動機能を使用すればさらに録音期間の延長が可能です。
多彩な機能 : 超広帯域フルカバーの性能を最大限に発揮するため、AR6000には高速スキャン、サーチ機能、 デュアルバンド受信、オフセット2波同時受信をはじめとする各種機能が装備されています。 液晶表示部は高速FFT方式のバンド・スコープへ切り替え可能で、400kHz~10MHzのバンド幅で受信帯域内の様子を瞬時に見ることができます。 CTCSS, DCS, DTMFなどの各種トーン回路、 AFC、音声反転、ノイズ・ブランカ、 ノイズ・リデューサー, アナログビデオ出力など各種補助機能も装備します。
■ソフトウェアご紹介
PC制御ソフトウェア : AR6000にはWindows PC上で動作する専用の制御ソフトが付属します。 スペクトラム、スペクトログラム(ウォーターフォール)の各表示、メモリーマネージメント、アクティビティーロギング、チャンネルヒットカウント、自動メモリーなどと従来の受信機では実現できなかった多彩な機能を備えています。 制御はUSBポートを通じて行われ、1台のPCで複数台のAR6000を同時に制御することが可能です。(注1)
I/Qソフトウェア : AR6000にはこのクラスの受信機としては世界初のデジタルI/Q出力を別売のI/Qボードより外部へUSB2.0にてアイソクロナス転送します。アナログ方式のIF出力に相当する帯域内のレベル差がほとんど無い帯域幅1MHz(±500kHz)のべースバンド信号が得られます。
I/Qはそれぞれ30ビット、2の補数の固定小数点データとして1.125Mサンプル/秒と高速で出力されます。 別売のI/QボードにはMICROTELECOM社で開発された専用のソフトウェアが付属します。 この専用ソフトウェアにより受信機の制御を、あるいは受信周波数±450kHzの帯域信号としてPCのハードディスクへ記録ができ、また記録したファイルはこのソフトを使い再生と記録帯域内での受信操作ができます。
■ アクセサリー - Accessories
I/Q出力ボード - IQ5001 : デジタルI/Qベースバンド出力を得るために受信機本体へ内蔵される出力ボードです。 I/Q信号によりPC上で信号帯域の記録と再生の可能なAR-IQ-2ソフトウェアが付属します。 本装置はメーカーオプションとなります。
GPS受信機 GP5001 : AR6000の周波数精度を0.01ppmへグレードアップするためのGPS受信装置です。 AR6000への接続はGPS受信機からのケーブル(約5m)先端のプラグを差し込むだけの簡単な操作です。
APCO P-25デジタル音声ボード AP5001 : 北米を始め、諸外国で一般的なAPCO P-25デジタル音声再生用のデコーダーです。 日本国内では米軍の一部で使用されてるデジタル音声通信方式です。 本装置はメーカーオプションとなります。
遠隔操作用 イーサネット・コントローラー ARL2300 : AR6000を LAN回線を通じ遠隔操作する装置です。 Java2 プラットフォームがインストールされたPCで遠隔操作が可能です。 ADSL回線(上り) 1Mbps 以上にて外部ネットワークよりルーターを超えて直接アクセスが可能です。15x13x3.5cmの小型の筐体に収納され、電源はAR6000の本体より供給されます。 本体との接続は制御用ケーブルと音声信号伝達用ケーブルのみです。
標準ラック取付用パネル HRE5001 : EIA19インチ標準ラック取付用の収納棚、取手付きパネル、取付ネジから構成されます。 前面パネルにはモニタ用のスピーカーが付属します。