クラス最高水準の性能とDXシーンで求められる優れた操作性をもつ
すべてにおいて進化したミドルクラスHFトランシーバー
- 本格的な1st IF 40MHzのトリプルコンバージョン方式を採用。誇れるクラス最高の受信性能
- 帯域幅3kHz、6kHz、15kHzのルーフィングフィルタを標準装備し、妨害信号を効果的に減衰させ、近接多信号特性を改善
- IF DSPには上位機種と同等の32ビット高速浮動小数点DSP TMS320C6727Bを採用。ワイズ、シフト、コンツアー、ノッチ、APFなどYAESUが誇る多彩な混信除去機能を搭載
- 状況に応じた最適なRFアンプ回路の動作を選択することができるIPO機能
- 4.3″大型TFTカラーディスプレイを搭載、クラス初のスペクトラムスコープにはASC機能を採用。マニュアル、ASC、連続の3つのスイープモードを装備
- オプションのFFT-1を内部に実装することで、相手局の送信電波のオーディオ特性や受信音のスペクトラムを表示するAF-FFTスコープ機能をはじめ RTTY/PSK31エンコード・デコード機能、CWデコード機能、CWオートゼロイン機能に対応
- 専用の操作ツマミとボタンをTFTディスプレイの下部に配置し、操作性を高めたシフトやワイズ、ノッチ、コンツアー(APF)機能
- お好みでアナログメータに近いメーター表示と多機能バーグラフ表示の選択が可能
- メインダイアル上部に、送受信の状態やVFO-A、VFO-Bの基本設定を表示
- アンテナ端子からAGC回路まで信号の流れに沿った受信ブロックダイアグラム表示により確実な操作が可能
- 基準発振回路に±0.5ppm TCXOを標準で搭載。広い温度範囲で優れた周波数安定度を実現
- 低音、中音、高音のそれぞれを独立して調整可能な3ステージパラメトリックイコライザーを採用
- FTDX1200とパソコンをUSB接続できるSCU-17を外付けオプションでご用意
- 非常にQの高いコイルを採用したFTDX9000、FTDX5000シリーズ用のμ-チューニングキットA(160m)、B(80/40m)、C(30/20m)を最大3台接続可能(オプション)
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HF/50MHz帯オールモードトランシーバー FT DX 1200 送信出力 100W 2アマ免許 |
| HF/50MHz帯オールモードトランシーバー FT DX 1200M 送信出力 50W 3アマ免許 |
| HF/50MHz帯オールモードトランシーバー FT DX 1200S 送信出力 10W(50MHz:20W) 4アマ免許
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| 標準構成品 |
| ハンドマイクMH-31B8、DC電源ケーブル |
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メインダイアルの動きに合わせてスペクトラムスコープが自動的に動作する ASC(Automatic Spectrum-Scope Control)機能を搭載このクラスでは初めて大型カラーディスプレイを使ってバンド内の状況を確認できるスペクトラムスコープを搭載しました。SCOPEキーを押すと”スペクトラムスコープ表示” →“ フルスクリーン表示” →“ AF-FFT付きスペクトラムスコープ表示”(オプションのFFT-1が必要です) →“ スペクトラムメモリー表示(”メモリーが保存されている場合のみ) →“ マルチファンクション表示”の順にカラーディスプレイが切り換わります。 FT DX 1200では、一つの受信回路を切り換えて使用していますのでスペクトラムスコープのスイープ中は受信音がミュートされます。スペクトラムスコープには、マニュアルモード、連続モード、ASC(Automatic Spectrum-ScopeControl)モードの3つのスイープモードを用意していますので、好みや目的に合わせてストレスフリーでスペクトラムスコープを操作することができます。
● マニュアルモード SELECTキーを押すと、1回だけスイープを行い、バンド内の状況をディスプレイに表示します。
● 連続スイープモード AUTOキーを長く押すと、受信音がミュートされスペクトラムスコープが連続でスイープを始めます。メインダイアルを回しながら連続してバンド内の状況を確認することができます。スイープを止めるにはもう一度AUTOキーを押します。
● ASCモード メインダイアルを速く回すと受信音がミュートされ、自動的にスペクトラムスコープがスイープを始めます。スイープはメインダイアルを完全に止めるまで連続で動作します。ディスプレイを見ながら目的の周波数付近まで移動してメインダイアルを完全に止めるとスペクトラムスコープは自動的に停止し、受信音を聞く事ができます。メインダイアルをゆっくり回せば、スペクトラムスコープは動作しませんので、受信音を聞きながらチューニングをすることができます。 |
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ゲイン配分の最適化に十分な配慮をしたトリプルコンバージョン回路構成 各ステージにおけるゲイン配分の自由度が高いトリプルコンバージョン回路構成を採用しました。これにより各ステージのフィルタによる不要信号の除去を行い、かつゲイン配分の最適化が可能となる反面で回路要素が増えるために設計の難易度は高くなります。FT DX 1200ではFTDXシリーズの設計思想を受け継ぎ、フィールドテストを繰り返し慎重に検討を行い、高次元でバランスした最高水準の受信回路構成となっています。 強力な信号を受け止める受信フロントエンド アンテナ直下で強力な信号にさらされる受信フロントエンドには、RFアンプなど能動素子はもちろん、信号切替回路やコイルなどの受動素子においても不要な信号を作り出すことがないよう十分に実験を行い選択しています。アッテネータ回路はフロントパネルのATTキーを操作して0/6/12/18dBの4段階から自由に選択が可能で、目的信号がある程度強力な場合には妨害信号も含めて減衰させることで後段での歪みの発生を効果的に抑制することが可能です。受信周波数に合わせて自動的に選択される8分割のBPF(バンドパスフィルター)は帯域外の妨害信号を著しく減衰させることでRFアンプの負荷を減少させます。RFアンプは負帰還型バイポーラトランジスタを2段シリーズに接続することで十分なゲインが得られますので、1段あたりのゲインを抑えNFが最良となる回路設計とすることができました。 状況に応じて最適なRFアンプ回路の動作を選択することができるIPO機能 RFアンプには実績のある負帰還型バイポーラトランジスタ2SC3356を2個使用しています。回路の特性を決める周辺回路定数はもちろん、基板のレイアウトまで、十分な実験を行い最適となるように決定しています。2個のトランジスタをシリーズに接続していますので、ゲイン重視ではなくNF最良点となるよう動作点を選択することができ、NFの低い優れた多信号特性を実現しています。 妨害信号を効果的に減衰させる狭帯域 3kHzルーフィングフィルタを標準装備 40.455MHzの1st IF段のルーフィングフィルタにはシャープファクター、歪み特性に優れたファンダメンタル振動モードによる4素子MCFの選別品を採用。3kHz,6kHz,15kHzの3種類のフィルタをすべて標準で実装しました。周波数の高い1st IF段においては実現が難しい3kHzの狭帯域ルーフィングフィルタを搭載したことにより、帯域外の強力な妨害信号を十分に減衰してから1stIF アンプに信号を伝えますので、後段の負荷を抑え近接多信号特性を改善しました。 高い出力を高品位かつ安定に供給する100Wファイナル部 ※Mバージョンは50W、Sバージョンは10W(50MHz 20W) MOS FET RD100HHF1を2個搭載しプッシュプルアンプ構成として100Wという大電力を余裕を持って増幅するファイナル部は、歪みが小さくスプリアスなど不要信号成分の少ない優れた高品位な電波を送信することができます。ファイナル部で発生する熱はダイキャストシャーシと一体として放熱する構造を採用しヒートシンクとして1200ccという十分な容量を持っています。ダイキャストの材質には熱伝導率の高いアルミ材を使用し熱抵抗を下げ、シャーシ全体で放熱することでたとえ連続送信時でも温度上昇を防ぎ高い信頼性を得ています。さらに冷却用ファンを内部に配置することで最も発熱するファイナルアンプと送信ローパスフィルタを直接冷却することが可能となり発生した熱を効果的に外部に排出します。ノイズの少ない大型60mm軸流ファンをシャーシからフローティングさせて搭載し振動を低減させています。さらに、このクーリングファンは発熱量が増えるに従い約40℃で回転を始め、温度に応じた無段階の回転制御を行っています。 4.3″大型TFTフルカラーディスプレイを採用 YAESUならではの優れたパネルレイアウトと見せかけだけのデザインではない効果的な表示が多彩な機能を持つトランシーバーにも関わらず、手を触れてすぐに操作や表示に慣れ親しむことができる自然な操作性を実現しました。 表示レイアウトも十分な配慮をしています。通信を行う上で最も重要なメータと周波数表示を視線の中心として、その周辺に送受信に関わる各種機能の表示を見やすく配置しています。これにより視線が分散することがなく操作した結果をすぐに目視で確認することが可能ですので、操作に意識を奪われることなく長時間の運用でもストレスなくオペレートに集中することができます。 混信除去機能の直感的な操作を可能にするグラフィック表示 一瞬を争う緊迫したDXやコンテストシーンにおいてオペレータが瞬時に判断して駆使する混信除去機能はとくに優れた操作性を備えていることが求められます。なかでも操作頻度の高いSHIFTやWIDTH, NOTCH, CONTOUR(APF)機能には専用の操作ツマミとボタンをTFTディスプレイの下部に配置して操作性を高めています。混信除去機能の設定状態をTFT画面にグラフィカルに表示しますのでフィルタなどの状態が一目で分かりやすく、さらに機能の有効/無効を表示部分の明るさで表現しますので直感的で非常に分かりやすく優れた操作性を実現しています。 自然なアナログ表示と多機能バーグラフ表示が選択可能なメータ表示 自然なフィーリングにこだわったアナログメータに近いメータ表示と多彩な表現が可能なバーグラフメータ表示を選択することができます。バーグラフ表示では基本的なSメータとPO(送信電力)のシンプルで見やすい表示はもちろん、さらにS&PO表示とALCレベル、SWR、ID(ドレイン電流)、VDD(DC供給電圧)、スピーチプロセッサのコンプレッションレベルのいずれか1つのメータを同時に表示することができますので、送信時に必要なマイクゲイン調整やパワーアンプの状態監視などにたいへん便利です。好みに合わせてホールドタイムを変更できるピークホールド表示にも対応します。 トルク調整機能付メインダイアル FT DX 1200はメインダイアルの操作フィーリングもこだわりをもって追求しています。大きなフライホイール効果をもつアルミ削り出し部品を採用した重量感のあるメインダイアルは、軽快で滑らかな操作感を生み出しています。メインダイアルのスカート部を回すことにより片手で簡単に回転トルクを調整することが可能ですので、オペレータの好みや運用シーンに合わせていつでもすぐに調整することができます。 FFT-1(オプション)が実現する先進の機能 オプションのFFT-1を内部に実装することで、AF-FFTスコープ機能をはじめRTTY/PSK31エンコード・デコード機能、CWデコード機能、CWオートゼロイン機能など先進の機能に対応しました。 送受信信号のAF特性を確認できるAF-FFTスコープ機能*1 FT DX 1200ではスペクトラムスコープと同時に受信音のスペクトラムを表示するAF-FFTスコープ機能にオプション(FFT-1)で対応しました。AF-FFTはFT DX9000で採用した機能でFast Fourier Transformの略です。相手局の送信電波のオーディオ特性を見ることや、受信部のIFフィルタや混信除去機能を調整する際にも、その効果を視覚的に確認することができます。またモニター機能により自局の送信電波のオーディオ特性も確認が可能ですので、パラメトリックマイクイコライザーなどのマイクの調整などにも効果的です。 RTTY/PSK31エンコードデコード機能*1 *2 実用的なRTTYとPSK31のエンコードデコード機能にオプション(FFT-1)で対応しました。RTTYモードでSCOPEキーを長押しするとRTTYエンコードデコード画面が表示されます。AF-FFTスコープ画面には設定したマーク周波数とスペース周波数のマーカが表示されますので、受信信号のピークを合わせるだけで、簡単に同調を取ることができます。マーク周波数は1275Hzと2125Hz、SHIFT幅は170/200/425/850Hzから選択が可能です。ボドーコードはUSとCCITTの両方に対応しました。 DATAモードでSCOPEキーを長押しするとPSK31デコードエンコード画面が表示されます。PSK31デコードエンコード機能は一般的なBPSKとエラー訂正機能があるQPSKの両方に対応しました。 CWデコード機能*1 欧文モールス符号をデコードしてTFT画面に文字で表示する機能にオプション(FFT-1)で対応しました。CWビギナーの受信練習や手軽に実際のCW通信の世界を体験するなど、様々なCW受信をサポートします。* * 混信やフェージング、またはオペレータの癖などで、聴感上では理解できるような信号であってもデコード率が低下することがあります。 CWオートゼロイン機能*1 受信しているCW信号を検出してCW受信音のピッチが設定したピッチ周波数と一致するように自動的にVFOの周波数を調整することができます。慣れていても耳だけではなかなか難しかったCW信号のゼロイン操作がキーを押すだけのワンタッチ操作で相手局に素早くゼロインしてスムーズにQSOを始めることができます。 *1:これらの機能を使う為にはオプションのFFT-1(FFT ユニット)を実装する必要があります。 *2:エンコード機能を使う為にはオプションのFH-2が必要です。 - 優れた送信音質を実現するデジタル変調回路
- CWモードでオーディオ帯域で信号対ノイズ(S/N)比を改善しCWの了解度を向上する効果のあるオーディオピークフィル(APF)機能
- コンテスト運用などを考慮した2つのアンテナ切換回路
- FTDX1200とパソコンをUSBで接続することができるSCU-17を外付けオプションで用意
- 非常にQの高いコイルを採用したプリセレクター、フルオートマチックμ-チューンキットA(160m)、B(80/40m)、C(30/20m)を最大3台接続可能(オプション)
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■一般定格 | 送信周波数範囲 | 1.8MHz帯 ~ 50MHz帯のアマチュアバンド 非常連絡設定周波数 4630kHz | 受信周波数範囲 | 30.00kHz~56.000000MHz(動作範囲) 1.800000MHz~54.000000MHzのアマチュアバンド(保証範囲) *中間周波数を除く | 電波型式 | A1A(CW),A3E(AM),J3E(LSB/USB),F3E(FM),F1B(RTTY),G1B(PSK31) | 周波数切替ステップ | 1/5/10Hz(CW/SSB/AM),100Hz (FM) | アンテナインピーダンス | 50Ω不平衡 (アンテナチューナー“OFF”時) HF:16.7Ω ~ 150Ω:不平衡 (アンテナチューナー“ON”時) 50MHz:25Ω ~ 100Ω:不平衡 (アンテナチューナー“ON”時) | 動作温度範囲 | -10℃ ~ +50℃ | 周波数安定度 | ±0.5ppm (-10℃ ~ +50℃:電源投入後1分後) | 電源電圧 | DC 13.8V±10% | 接地方法 | マイナス接地 | 消費電力 | 受信無信号時約1.8A 受信信号出力時約2.1A
FT DX 1200 | 100W送信時 | 約23A | FT DX 1200M | 50W送信時 | 約16A | FT DX 1200S | 10W送信時 20W送信時 | 約10A 約12A(50MHz) | | 外形寸法 | 365 W×115 H×312 D mm(突起物含まず) | 重量 | 約9.5kg | ■送信部 | 定格送信出力 | | FT DX 1200 | FT DX 1200M | FT DX 1200S | CW, LSB, USB, FM, RTTY, DATA | 100W | 50W | 10W (50MHz 20W) | AM | 25W | 12.5W | 2.5W (50MHz 5W) | | 変調方式 | J3E(SSB)数値演算型平衡変調 A3E(AM) 数値演算型低電力変調 F3E(FM) 数値演算型リアクタンス変調 | FM最大周波数偏移 | ±5.0kHz/±2.5kHz(Narrow) (IDC及びスプラッターフィルター付き) | スプリアス発射強度 | HF帯 -60dB以下(高調波), -50dB以下(高調波以外) 50MHz帯 -63dB以下(100Wモデル), -60dB以下(50W/10Wモデル) | 搬送波抑圧比 | 60dB以上 | 不要側波帯抑圧比 | 60dB以上 | 第三次混変調積歪 | -31dB(14MHz帯, 100W PEP出力時) | 占有周波数帯域幅 | SSB 3kHz以内,CW 500Hz以内, AM 6kHz以内,FM 16kHz以内 | 送信周波数特性 | SSB 300 ~ 2700Hzにて-6 dB以内 | マイクロホンインピーダンス | 600Ω(200Ω~10kΩ) | ■受信部 | 受信方式 | トリプルコンバージョンスーパーヘテロダイン方式 | 中間周波数 | 第1中間周波数 | 40.455MHz | 第2中間周波数 | 455kHz | 第3中間周波数 | 30kHz ( AM/FMは24kHz) |
| 受信感度(TYP) | SSB/CW(通過帯域幅2.4kHz/10dB S+N/N)
1.8MHz~30MHz 0.16μV以下(AMP2:ON) 50MHz~54MHz 0.125μV以下(AMP2:ON) AM(400Hz,30%変調波,通過帯域幅 6kHz/10dB S+N/N) 0.5MHz~1.8MHz 2μV以下(AMP2:ON) 1.8MHz~30MHz 2μV以下(AMP2:ON) 50MHz~54MHz 1μV以下(AMP2:ON) FM(1kHz 3.5kHzDEV BW:15kHz,12dB SINAD) 28MHz~30MHz 0.5μV以下(AMP2:ON) 50MHz~54MHz 0.35μV以下(AMP2:ON) | 選択度(TYP) | Mode | -6dB | -60dB | CW(BW=0.5kHz) | 0.5kHz以上 | 0.75kHz以下 | SSB(BW=2.4kHz) | 2.4kHz以上 | 3.6kHz以下 | AM-N | 6kHz以上 | 15kHz以下 | FM-W | 12kHz以上 | 25kHz以下 |
| イメージ妨害比 | 70dB以上 (1.8MHz帯~28MHz帯アマチュアバンド) 60dB以上 (50MHz帯アマチュアバンド) | 低周波定格出力 | 2.5W以上(@4Ω THD10%) | 低周波負荷インピーダンス | 4 ~ 8Ω(標準4Ω) | 副次的に発する電波等の限度 | 4nW以下 |
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定格値は常温・常圧時の値です。 測定法は電波法告示で定められた測定法によります。 製品の仕様・外見等は改良のため予告なく変更することがあります。 |
FTDX1200 ズバリ! FTDX3000とはここが違う!◆FTDX1200は、かなりコストパフォーマンスの高い新型モデルです。性能的には、FTDX3000と、FT-950のちょうど間くらいに位置します。今回は、速報的に、FTDX3000とはどこが違うのか……をまとめてみました。
◆まずは、基本的な受信回路の話!
ダウンコンバージョンとトリプルコンバージョン(アップコンバージョン)について。
FTDX3000は、基本的な受信回路が、ダウンコンバージョン方式で、FTDX1200は、トリプルコンバージョン方式です。
トリプルの方が性能が良さそうなイメージですが、実際は、ダウンコンバージョンの方が性能は上となります。
簡単に言いますと、IF段の段数・部品数が少なくなるため、内部でのロスやノイズが少なく、弱い信号に強くなるというイメージです。また、物理的なルーフィングフィルターも低いIF段周波数用の方が、シャープで性能のよいものが使えるという利点もあります。
さて、実際上の違いがどのくらいあるか……これが難しいところですが、2Kセパレート近接など、ハードな使用時には、トリプルコンバージョン方式か、ダウンコンバージョン方式なのかの違いが出てきます。しかし、実際には、二台を同じ環境において、聞き比べてみないと、聞こえる・聞こえないの差は出てこないかもしれません。それくらい、現在の、トリプルコンバージョン方式は、性能が上がってきているんです。ここ10年くらいの基本的な受信性能の向上は驚くべきものがあります。
◆ちなみに、DSPユニットは、FTDX3000、FTDX5000と同じ、テキサス「TMS320C6727B」を使用しています。300Mクロック、最大2800MIPSで、抜群のDSPの効きを誇っています。
これ、技術さんでも、ローバンド以外で普通に聴いた感じては、3000と差がなく、時々3000と聞き間違う程とのことです。
◆ルーフイングフィルター標準装備です。15k/6k/3kと装備しており、オプションで買い足す必要性はありません。40.455MHzのIFも60Mと比較して良好なシェープファクターも確保できるため、同じ方式の60Mと比較しても性能が出やすいです。
◆メインディスプレイは3000と同じ。
メインディスプレイ4.3インチTFTは同じで、大きくて見やすい表示はそのまま。周波数表示やレイアウト・大型のスコープ画面はFTDX3000よりもさらに見やすくなったかもしれません。
◆スペクトラムスコープ機能は、受信部共用です!
また、この価格帯で、スペクトラムスコープを搭載しているのは画期的。
ただし、FTDX3000が、受信部と完全別個なのに対して、FTDX1200は、受信部と共用になっています。受信とスコープ動作は同時に働きません。
ボタンを押す度に1回スイープを行うマニュアルモードと連続でスイープを行うオートモードに加え、メインダイアルの操作に従って自動的にスイープを行うASCモードを搭載。
実際上は、ダイヤル操作している時には、自動でスコープに切り替わるので、ほとんど違和感は感じないかも。よく出来ているなあと思います。厳密には、スコープと受信部は別個に動作していませんので、スコープを常時見ていながら、受信操作もしたいという方は、FTDX3000が必要となります。
◆ダイヤルブレーキ機構の調整 使いやすくなる。
片手で出来るようになりました。
これは、FTDX3000よりもやりやすくなりました。
◆サブディスプレイがなくなる。
メインダイヤル上の周波数表示がなくなりました。
◆下記は、オプション対応になりました!
まずは、FFT-1。
内部に実装することで、FTDX3000の以下の機能が使えるようになります。
AF-FFTスコープ機能、RTTY/PSK31エンコードデコード機能、CWデコード機能、CWオートゼロイン機能。
もう一つが、SCU-17。
FTDX3000の中に入っているものと同じです。
USB一本で電源供給、接続。
950/450シリーズも仕様可能。
CT-62使えば、857/897/817も仕様可能。
CT-39+大きいDINコネクター使えば、5000シリーズや9000シリーズでも使用可能。
◆全体としては……。
持って出歩けるように、10Kgを切る総重量。
どんな人によいか CW勝負派 バンドスコープ常に必要という方はFTDX3000か。
◆価格差はどこにあるか まとめるとこんな感じ↓
・トリプルコンバージョン方式に変更。
・スペクトラムスコープは受信部を共用。
・サブディスプレイをカット。
・その他、入れられなかった機能をオプションにしている。
これらが、価格差(定価)にして10万円ほどの違いになっています。
◆まとめ
この価格帯の機種としては、素晴らしい出来だと思います。
9000、5000、3000に続くという意味では、位置づけとしては、中級機と言えるかもしれませんが、中級機といえど、10年前の高級機クラスの受信性能が十分にあります。また、DSPやルーフィングフィルター、スペクトラムスコープなどの各種機能が使えます。FTDX3000/5000は価格的に手が出ないなという方には、本機は非常に強力な選択肢になりそうです!
レビュー↓ |
■FTDX1200/M/S 丁寧で迅速な対応で素晴らしい FTMDX1200は感度使い勝手は非常に良く、またぜひ利用させていただきます ---------------------------------------------------------------- ■FTDX1200/M/S 過去においてHFではF-50Bライン、FT-101、FT-901を使用し、一時期TRIO(KENWOOD)に浮気しましたが、このたびやっぱりYaesuのRigが欲しくなり、性能と金額面を考慮しFTDX1200DMを購入することとしました。 もうすぐFT991が発売されますが、固定専用機が欲しいということでこちらを選択しました。 取り説も非常に丁寧な解説で分かりやすく、最近のRigではありますが、いじくっているうちにすぐに慣れました。最新の機能が搭載されてはいますが操作的には基本的には昔と大差ないように思われます。 ただスペクトラムスコープはどんなものだろう?と期待しましたが、特に期待に答えてくれるようなものでもなく、「おまけ」程度でこれなら特に必要ないようなので使っていません。(購入前の期待感が大きすぎたかな) |
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